社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
あの日以来——いや、本当はもっと前からかもしれないけれど——私の若林くんに対する感情は後輩以上のものになっていた。
ただ、その感情に名前をつけることが出来ずにいることに、なにかモヤモヤするものを感じていた。
彼からもらった“癒やし”のおかげか、仕事はすこぶる順調で、自分なりに提案した企画が通ったりと、忙しいながらも充実した毎日を少していた。そんな矢先……。
その日、私は珍しく営業コンテストの景品である、研修という名目の香港旅行の打ち合わせのために、旅行会社を訪れるために外出していた。
思ったよりも早く打ち合わせを終えたけれど、今日は成瀬くんの大口契約のお祝いの会を営業部の有志で開くことになっている。
若林くんに、誘われたときには『行けそうなら、参加する』とそう答えた。
去年まで在籍していた上に、成瀬くんは気の知れた後輩だ。
だから誰でもウェルカムな、営業部の飲み会に別の部署のメンバーが参加するのは珍しいことではない。
それでも、積極的な参加の意思を示せなかったのは、若林くんとの距離感に戸惑っているからだ。