社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
それから、私は何事もなかたかのようにデスクに戻る。
今まで培ってきたポーカーフェイスが役に立った。これが本来の私なのだから、いつもと同じようにするだけだ。
山崎部長へと、打ち合わせの報告を行う。そのときもいつもとなんら変わらない態度だった。
とくに、三木さんの態度もかわらない。まぁ、もともと私には好意的ではないから、その態度があらたまったわけではない。
表面上はいつもとなんら変わらない。
しかし、周りにはうまく隠せていても、やっぱりさきの出来事が尾を引いていて、いつもなら時間のかからない、様々な仕事ひとつひとつに驚くほど時間がかかってしまった。
今日やらなければいけない仕事がすべて片付いた時は、時刻はすでに二十一時を過ぎていた。
もう一次会は終わってしまっただろう。
いつもの私なら、この時点で連絡して帰っているだろう。
けれど、私はそうしなかった。
裏口から守衛さんに挨拶をして、外に出る。
そしてスマホを取り出すと、はじめて若林くんに自分から連絡をした。
「……もしもし」
『蓮井さん、今どこですか?』
彼の声を聞いた瞬間、刺々しかった気持ちがなにか柔らかいものに包まれるような感じがした。
彼に二次会の場所を聞き、電話を切る。
気がつけば私は、二次会の会場になっているカラオケ店へと駆けだしそうな勢いで向かっていた。