社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
到着すると、すでに会場は大盛り上がりで、次々と曲が流れていた。
ドアを開けた店員さんの後ろから、部屋を覗くと、真正面に若林くんと滝本さんがいて、私に気がついたみたいだ。
「あれ? どうしたんですか?」
私を見た滝本さんが、驚いた様子で尋ねてきた。
当たり前だろう。今日参加することは、若林くん以外知らないのだから。
私は手を振って、笑顔をみせた。
滝本さんの横に座っている、若林くんがなにやら説明しているようだ。
私が近くに行くと、スッと若林くんが席をあけてくれた。私は滝本さんと若林くんの間に腰をおろした。
「なに飲みますか?」
席に着くやいなや、すぐに若林くんが注文を聞いてくれる。
メニューを見て、若林くんに伝えた。
「んーと、ハイボール」
「分かりました」
器用にリモコンを操作して、あっという間に注文を完了した。
「本当に良く気がつくわね」
小さな声で呟いたつもりだったのだけれど、しっかり滝本さんには届いていたようだ。
「貴和子さんもそう思いますか? 合田さんよりよっぽど役に立ちますよ」
「ちょっと、滝本さん……」
私はあわてて、周りを見渡して合田さんに聞こえていないかどうか、確認した。
どうやら、一次会で帰ったようで会場に姿はなかった。
「あれ、河原さんもいないの?」
いつもなら、二次会にも参加しているはずの河原さんがいないことを不思議に思い尋ねた。