社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
「私だけが、特別じゃないんだ」
思わず口から出た言葉に、若林くんが反応する。
やだ……聞こえてた。
「なんでもない……」
「そうですか、あの蓮井さん……」
彼が私になにか言おうとしたとき「おーい、若林」と誰かが彼を呼んだ。
「ほら、呼ばれてるよ」
私が彼の言葉を遮ると、こちらを気にかけながら、呼ばれた方へと移動した。
——みんなの、若林くんなんだから。
誰からも必要とされている彼が、急にまぶしく見えた。
それと同時に、思い出したくないことを思い出してしまう。
『はぁ……彼女がここに配属になるって決まったときに、こうなるとは思っていたんだ』
昼間聞いた、山崎部長の声が頭に響いた。
仕事だけは、認められていると思っていた。しかし実際のところ、それさえも叶わないなんて。
若林くんに比べて、自分は誰からも必要とされていないんじゃないかとさえ思えてくる。
こんなに騒がしく、大勢の人の中にいるのに、ふと寂しくなって、手元のハイボールを煽るようにして飲んだ。
グラスをテーブルに置き、顔をあげたとき、ふと遠くの席から視線を感じた。
灯りの落とされた、暗い部屋だったが、はっきりとわかる。
ステージでは、成瀬くんと滝本さんは楽しそうに歌っていた。
しかし私は、じっと若林くんの視線を受け止めて、見つめ返していた。
思わず口から出た言葉に、若林くんが反応する。
やだ……聞こえてた。
「なんでもない……」
「そうですか、あの蓮井さん……」
彼が私になにか言おうとしたとき「おーい、若林」と誰かが彼を呼んだ。
「ほら、呼ばれてるよ」
私が彼の言葉を遮ると、こちらを気にかけながら、呼ばれた方へと移動した。
——みんなの、若林くんなんだから。
誰からも必要とされている彼が、急にまぶしく見えた。
それと同時に、思い出したくないことを思い出してしまう。
『はぁ……彼女がここに配属になるって決まったときに、こうなるとは思っていたんだ』
昼間聞いた、山崎部長の声が頭に響いた。
仕事だけは、認められていると思っていた。しかし実際のところ、それさえも叶わないなんて。
若林くんに比べて、自分は誰からも必要とされていないんじゃないかとさえ思えてくる。
こんなに騒がしく、大勢の人の中にいるのに、ふと寂しくなって、手元のハイボールを煽るようにして飲んだ。
グラスをテーブルに置き、顔をあげたとき、ふと遠くの席から視線を感じた。
灯りの落とされた、暗い部屋だったが、はっきりとわかる。
ステージでは、成瀬くんと滝本さんは楽しそうに歌っていた。
しかし私は、じっと若林くんの視線を受け止めて、見つめ返していた。