社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
「ねぇ、ちょっと待って。行くって、どこに?」
肌寒い中、彼につながれている手だけが異常に熱をもっているように感じる。
縺れそうになる足を必死で動かして彼について行く。
もう間もなく終電の時間だ。そろそろ駅に向かわなくては間に合わなくなる。
しかし、彼は駅とは反対方向へと足を向けている。
どうしたらいいのか、戸惑っていると、ぐいっと人気のない裏路地へと強引に手を引かれた。
「ちょっと、どういうつもり? 急がないと電車——」
私の言葉を遮るように、両腕を掴まれた。目の前には真剣な顔の若林くんが、痛いくらいの視線を私に向けている。
「さっき、蓮井さんはオレが『誰にでも必要とされている』って、言いましたよね?」
確かにそう言った。私は彼の迫力に押されて黙って頷くことしかできない。
「それって、蓮井さんもオレを必要だって思ってくれているってことですよね?」
「それは……」
「違うだなんて言わせない」
そう言うや否や、彼の顔が傾いた。そして私に近づいてくる。なにをされるのかわかった私は、思わず目を閉じる。
「んっ……」
柔らかくて、熱い唇が私のそれに重なった。抵抗しようと懸命の胸を両手で押したけれど、びくともしない。
肌寒い中、彼につながれている手だけが異常に熱をもっているように感じる。
縺れそうになる足を必死で動かして彼について行く。
もう間もなく終電の時間だ。そろそろ駅に向かわなくては間に合わなくなる。
しかし、彼は駅とは反対方向へと足を向けている。
どうしたらいいのか、戸惑っていると、ぐいっと人気のない裏路地へと強引に手を引かれた。
「ちょっと、どういうつもり? 急がないと電車——」
私の言葉を遮るように、両腕を掴まれた。目の前には真剣な顔の若林くんが、痛いくらいの視線を私に向けている。
「さっき、蓮井さんはオレが『誰にでも必要とされている』って、言いましたよね?」
確かにそう言った。私は彼の迫力に押されて黙って頷くことしかできない。
「それって、蓮井さんもオレを必要だって思ってくれているってことですよね?」
「それは……」
「違うだなんて言わせない」
そう言うや否や、彼の顔が傾いた。そして私に近づいてくる。なにをされるのかわかった私は、思わず目を閉じる。
「んっ……」
柔らかくて、熱い唇が私のそれに重なった。抵抗しようと懸命の胸を両手で押したけれど、びくともしない。