社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
「成瀬くんが言っていた。今日も昼休み返上して手伝っていたんでしょう?」

こんな話をしたいわけじゃないのに……。心の中でそう思っても、もう遅い。

「やっぱり若林くんは誰にでも優しいんだね」

「それは……」

言い淀む彼を見て不安になる。それが顔にあらわれていたのか、若林くんはため息をついた。

めんどうだと思われんだ。

「ごめん、変なこと聞いて」

「いえ、あの……誤解されたくないんで言いますけど、全部蓮井さんのためです」

「私の?」

ばつの悪そうな顔で、若林くんが頷いた。

「あの仕事、蓮井さんが担当だって聞いて……もし遅れたら、あなたに迷惑がかかるでしょう? もしかしたら、合田さんの代わりに自分でやってしまうかもしれない。ただでさえ多くの仕事抱えてるのに、それで少しでも楽になればって思ったんです」

照れたように髪をかき上げる彼に、驚いた私はなにも言えない。

口元に持っていった手で、徐々に赤くなる顔を隠した。

まさか私のためだなんて、思っても見なかった。

もし、今回私がこんなふうに問いたださなかったら、私はこの事実を知らなかった。

駆け引きのためでもなんでもなく、本当に私のことを思ってしてくれた彼の行動に、胸が熱くなり震えた。
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