社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
「ばれたら、ちょっとはずかしいですね」

頭をかき、苦笑いを浮かべる彼。

私はそんな彼の心の大きさに触れて、自分をコントロールできなくなる。

年下だから……後輩だから……ずっとそう思おうとしてきた。

年上の可愛くない私が、彼の時間を無駄にしてしまうような気がして、踏み込めなかった。

それは、自分への言い訳に過ぎない。

だけど、もう無理だ。これ以上自分を欺いて、彼への思いを知らないふりなんてできない。

「あの……」

「あ、ちょっと待ってください」

私が口を開いた瞬間、若林くんの携帯が鳴り、私に背を向けて話をはじめた。

ちゃんとお礼を言おうと思ったのに。それと、これまですごく冷たくしたことも、謝らなきゃ。

私は彼が電話を終えるのを、待ちながら彼に伝える言葉を考える。

「蓮井さん」

「はいっ!」

急に名前を呼ばれて、思わず返事をしてしまう。そんな私に彼は明るい笑顔を見せてスマホを掲げた。

「ずっとアポが取れないお客さんからでした。今から行ってきます」

まるで跳ねるように軽やか階段を上っていく彼に、慌てて声をかけた。

「ありがとう」

彼の足がピタッと止まり、まぶしいほどの笑みを浮かべてこちらを振り向いた。

「行ってきます!」

大きく手を振る彼に、私も笑顔で手を振り返した。
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