鬼常務の獲物は私!?



比嘉さんを応援したいと心から思っていたら、まだひと言も発していない彼女が、やっと口を開いた。

「話を遮るようで申し訳ありませんが……」と前置きしてから、落ち着いたトーンの声で話し始める。


「あちらの女性がどなたなのかを、紹介していただけないでしょうか?
お仕えする神永常務に関わりのある方は、秘書として把握しておきたいのでお願いします」


比嘉さんは高山さんに向けて言ったのだと思うけれど、視線はずっと私に止められているので、慌ててソファーから下りて自己紹介した。


「営業部で事務員をしております、福原日菜子です。どうぞよろしくお願いします」


深々と頭を下げて挨拶し、ニッコリと笑顔も向けたのに……なぜか訝しげな視線を向けられてしまった。


「常務室のソファーに、営業事務員が座るのですか……」


なんとなく非難めいたものを感じるその言い方に、もしや気付かぬ内に失礼をしてしまったのではないかと、内心慌ててしまう。

オドオド、ビクビクして、なにも言えなくなってしまった私の代わりに、高山さんが説明してくれた。

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