鬼常務の獲物は私!?
叫び終えると同時に、常務の攻撃もピタリと止まった。
比嘉さんの存在が常務に罪悪感を思い出させ、反省して止めたのかと思ったが……胸から顔を上げた常務はなぜかキョトンとして私を見ていた。
「婚約者とは……誰のことだ?」
とぼけているのかと一瞬だけ思ったが、そんな風には見えず、本当に分からないといった顔をしている。
そんな常務を見て、私も目を瞬かせてしまった。
あれ……もしかして私、なにか間違えてる……?
そんな予感がして、恐る恐る常務に聞いてみた。
「あの、比嘉さんって、常務と結婚前提で、入社されたんですよね……?」
「は? 小百合と俺が? そんな話が出たことは一度もないぞ。どこからの情報だ?」
「え……ええと、噂で、社長がそんな話をしていたと……」
「親父が?」
「違うんですか……?」
常務室の机の上で、胸もとをはだけさせて寝ている私と、覆い被さる常務が見つめ合う。
格好だけは深刻なのに、私はポカンとマヌケ面をして、常務はマヌケではないけれど、似たような顔をしていた。
その時ドアがノックされ、常務が入っていいとは言っていないのに開けられて、高山さんと……その後ろに比嘉さんも入ってきた。