鬼常務の獲物は私!?



頷いてしまったけれど、まだ頭は混乱中。

常務と比嘉さんは婚約してなくて、お互いに気持ちもない。

比嘉さんの好きな人は常務ではなく、高山さんで……そこまで状況を整理して、また疑問にぶつかった。

だったらなんで、私のことを睨んでいたのだろう。

常務室に行こうとしたら、階段の踊り場で呼び止められ、厳しく叱られたのに……。


あの時に交わした会話を思い出して、そういえばと思い当たることがあった。

多忙な常務が私に会うために無理して途中帰社すると怒られた後、たしか、『それに付き合う高山さんも……』と言っていた気がする。

私の存在が仕事の妨げになっているとキツイ言葉を浴びせられたが、常務の仕事ではなく、『常務と高山さんの仕事』とも言っていた。

比嘉さんが心配していたのは、神永常務よりも高山さんのことだったのか……。


立ち去ろうとした私を憎らしげに睨みつけていたのも、もしかして高山さんのせいかも。

あの時、途中で現れた高山さんは私を庇い、『福原さんのそういう所が、私は好きですよ』と、恋する比嘉さんにしたら傷つくようなことを言っていたし……。


そうだったのかと、やっと納得できた。

比嘉さんにとって私は邪魔な存在には変わりないけれど、向けられていた嫉妬心は、神永常務じゃなく高山さんだったんだ……。


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