鬼常務の獲物は私!?



色々と勘違いをしていたのだと理解した後は、振られてしまった比嘉さんを可哀想に思い、申し訳なくも思った。

あの時、比嘉さんは高山さんの忙しさを心配していたのに、その原因のひとつでもある私が高山さんに庇ってもらったなんて、今思えばひどい話だ。

女性としてという意味ではなくても、比嘉さんの前で高山さんに好きだと言わせてしまい、憎まれて当然だと思う。

モゾモゾと机の上から下りた私は、深々と頭を下げる。


「比嘉さんに失礼なことをたくさんしてしまいました。本当にごめんなさい」

「え……?」


私が頭の中で考えて反省したことは、もちろん比嘉さんには伝わっていないので、急になぜ謝るのかと不審の目を向けられてしまう。

それでも謝らなければ気が済まず、私は言葉を続ける。


「これからは比嘉さんに嫌われないように努力します。もし私にダメな所があったら、バンバン言って下さい。
あ……ダメな所だらけかもしれないけれど……」


そう言ったら、神永常務と高山さんは笑い出し、比嘉さんには冷めた視線を向けられた。


「福原さんのことは、嫌いではありません。物凄く苦手なタイプではありますが、正直羨ましくもあります。
できれば私も、あなたみたいな女性に生まれたかった……」


「えっ⁉︎ だ、ダメです!
比嘉さんが私になったら、神永常務と高山さんのお仕事が大変なことになってしまいます!」


「そうね。ミスの連発で、会社にとっては不利益極まりないでしょうね」


「あ、あの……そこまで言ってないんですけど……」


驚いたり、慌てたり、肩を落としたりと忙しい私を見て、比嘉さんがフフッと笑った。

固い蕾がやっと花弁を開きかけたような笑い方で、ぎこちなく控えめなその笑顔が、私には可愛らしく思えた。


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