鬼常務の獲物は私!?
それについては比嘉さんも首を傾げるだけ。
高山さんは目線を天井に向け、なにかを思い出しているような顔をしていたが「ああ、なるほど」と独り言を呟いて、私たちに教えてくれた。
「恐らく、三ヶ月ほど前の、私との会話が原因かと……」
高山さんが比嘉さんのもとに通い詰め、やっと第二秘書になることを承諾してもらった後に、それを社長に報告したそうだ。
そのとき社長は、笑いながらこう言っていた。
『歳も似合いだし、うちの縁者だから家柄も確かだ。彰と小百合の気が合うなら、秘書じゃなく嫁にもらってもいいな』
高山さんはそれを冗談だと思って聞いていた。
社長もその時には冗談のつもりだったのだろうが、後にそれもいいかもしれないと考えるようになったのではないか……これが高山さんの推測だった。
隣に深い溜息が聞こえた。
それは神永常務のもので、疲れた顔をして椅子にドッカリ座り込むと、おまけの溜息をもうひとつ。
まだ机の上に座っている私と視線を合わせ、「心配するな」と言ってくれた。
「当事者ふたりに恋愛感情がないのに、勝手に話を進められたら困る。親父にはそれはできないと、ハッキリ言っておくから。
だから日菜子は、これからも俺の側にいろ。呼んだらすぐにここに来い。分かったな?」
「は、はい……」