仲間ってなんだろう
今までそんな余裕がない程、沙羅は歌に夢中だった。
芸能界で生きていくことを夢見ていた。
「……俺は昔から、沙羅のことが好きだったよ。」
2人はどこにでもいるような普通の幼馴染だった。
家がすぐ近所で保育園、小学校とずっと仲が良かった。
春樹が転校してから連絡はとっていなかったものの、同じ事務所に入って1つのグループになった時はお互い運命的なものを感じた。
春樹の言葉に沙羅は目を見開いて春樹を見た。
「え?」
エレベーターの扉が開いて2人はぎこちなく足を踏み出した。
「全然、気づかなかった……」
「うん。知ってた。」
ビルを出るとそこはもちろん真っ暗だった。
2人は時間を気にしながら少し急いで駅への道を歩き出した。
「でも、ありがとう。ごめんね。」
沙羅の吐き出した息が白く霞んで消えた。
今は3人が出会った春とは程遠い季節だった。
「春樹にまた会えて良かった。
あたしの芸能活動は、春樹が居なかったらどうなってたか。」