Christmas Rose
再び湖の畔へやって来た。
風に揺れる湖の水をそっと掬った。
16年間、慣れ親しんだ王宮がこんなにも息苦しい場所になるなんて。
決して、幼い頃から王になりたかった訳ではない。
子供の頃、フィオナは可愛らしいドレスを着ているのに、アリスは自分が男用の洋服を着ることを疑問に思っていた。
年が近い貴族の女の子達は、自分の人形に洋服を着せたり髪を結ったりして遊んでいた。
そんな時、自分も混ざりたいと思っても、私に与えられるのは人形や花ではない。
この国の歴史を学ぶための本や、昔は持つだけでもやっとだった剣だ。
私は、この国の道具として使われていただけだ。
邪魔になれば、もう必要なくなったなら…
「…また、泣いているのですか?」
顔を上げると、この間の夜の男が再び立っていた。
「…泣いてなどいない。」
アリスはローブで顔を隠した。
「今日もまた、城を抜け出してきたのですか?」
「…あなたには、関係ない。。」
そういうと男性も隣に腰を降ろした。