Christmas Rose

「まだこの国に滞在していたのか?」


「はい。どうやらこの国が気に入ったようだ。」

男は、草むらに落ちていた石ころを手に取って、湖に投げた。

「…今日、ドレスを着て舞踏会へ出た。みんなが物珍しそうな目をして私を見ていた。」

この16年間、一度たりともドレスになど袖を通したことがなかった。

「…明日から、花嫁修行とやらが始まるらしい。16年間、男として生きた私が、今更女の生活など送れるのか…」

アリスはふっと笑みをこぼしながら呟いた。

すると、突然男がアリスの腕を掴んだ。


「な、なにをするっ…」

男の顔が、月明かりに照らされた。

「…こんなに細い腕、私は男だと思えと言われても無理だな。」

「離せ…」

アリスはパッと腕を振り払った。

男は草むらにゴロンと寝転がって空を眺めた。

「綺麗な星空だ。君も見てみるんだ。」

そう言われて、アリスも横になり夜空を見上げた。


綺麗…。

吸い込まれそうなくらい美しい夜空。

この星空も、やがて見ることは出来なくなる。

ギルティの夜空も、こんなに美しいだろうか…


< 14 / 190 >

この作品をシェア

pagetop