Christmas Rose
「まだこの国に滞在していたのか?」
「はい。どうやらこの国が気に入ったようだ。」
男は、草むらに落ちていた石ころを手に取って、湖に投げた。
「…今日、ドレスを着て舞踏会へ出た。みんなが物珍しそうな目をして私を見ていた。」
この16年間、一度たりともドレスになど袖を通したことがなかった。
「…明日から、花嫁修行とやらが始まるらしい。16年間、男として生きた私が、今更女の生活など送れるのか…」
アリスはふっと笑みをこぼしながら呟いた。
すると、突然男がアリスの腕を掴んだ。
「な、なにをするっ…」
男の顔が、月明かりに照らされた。
「…こんなに細い腕、私は男だと思えと言われても無理だな。」
「離せ…」
アリスはパッと腕を振り払った。
男は草むらにゴロンと寝転がって空を眺めた。
「綺麗な星空だ。君も見てみるんだ。」
そう言われて、アリスも横になり夜空を見上げた。
綺麗…。
吸い込まれそうなくらい美しい夜空。
この星空も、やがて見ることは出来なくなる。
ギルティの夜空も、こんなに美しいだろうか…