Christmas Rose


「…何処の国に行っても夜空は美しい。だが、やはり故郷の星空に勝るものはない。嫁いだら、もう二度と故郷へ帰ることは出来ないんだろう。」



一度嫁いだら、たとえ両親が死んだ時だって、母国に帰ることは許されない。




「辛い気持ちは分かるが、今はもう二度と戻れない母国の星空をその目に焼き付けておくんだ。」



男の言葉に、アリスはもう一度空を見上げた。

不思議だ。

この人の前では格好付けづに素直に自分の気持ちをさらけ出せる気がする。


この男性の言うように、何時までも憎しみの気持ちを抱いて、残り少ないこの国で過ごす時間を無駄にしてはいけない。



思えば、この16年間王宮での暮らしは息が詰まるものだった。



未来の国王という重荷が、いつも自分に降りかかっていた。

女に生まれたことへの恨み。

こんな想いまでして、この国へ全てを捧げなければならないのかと
苦悶の日々であった。



しかし、ここは紛れも無い私の母国。



「…ありがとう。あなたと話せて心が少しだけ落ち着いた。」

アリスは立ち上がり、男に手を差し出した。


「今度こそお別れだ。」


「…またいつか会えるさ。世界は狭い。」



手をギュッと握り合うと、アリスは馬にまたがって王宮へと戻った。



また、いつか…
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