強気な彼から逃げられません
「れ、怜さん?」
『起きてたか?』
「うん。そろそろ寝ようと思ってたけど、起きてるよ。怜さんは?」
怜さんの声が聞きたくて眠れなかったことは言わずにいた。
『俺? さっきホテルに戻ってきて、今からシャワーでも浴びようかと思ってるところ』
「そうか。遅くまでお疲れ様……」
スマホ越しでもわかる、怜さんの疲れた声が気になった。
「仕事はどう? 忙しいの?」
『ああ、忙しいな。せっかく来たんだからって夜は夜で飲みに連れ出されるし、結構ハード』
「そっか……」
『あ、さっき愁からメールがきたんだけど、一緒に飲んだんだって?』
突然変わった怜さんの低い声に、違和感を感じた。
機嫌が悪いことを隠そうともしない声は、普段の怜さんからは想像できない。
「えっと……偶然、お店で会ったからみんなで楽しく飲んだの。だけど、私と美絵の分までおごってくれたから申し訳なかった」
『それくらい奢らせろ。あいつはそれ以上に楽しい時間を過ごしたみたいだからな』