強気な彼から逃げられません



「怜さん?」

小さくそう呟いた私に、電波の向こうから小さく吐き出された吐息を感じた。

『悪い。愁の奴がややこしいメールを送ってきたから、ちょっと焦ってた』
 
「ややこしいメール? って何のこと?」

『いや、それは明日愁が来たらしめておくから、いい。ただ、芹花と付き合いだして初めてこんなに長く離れるから、俺が必要以上に神経質になっただけだ』

どこかふてくされた物言いに、更に疑問は大きくなり、見えない怜さんの表情を見たくてたまらなくなる。

何が原因なのかわからないけど、どこかいらだっているような怜さんの声に、私の気持ちは落ち込んでいく。

『芹花?』

「ん?」

『頼むから、俺のいないところで他のオトコと絡むなよ』

「は?」

『ようやく俺のものになったのに、他のオトコにかっさらわれでもしたら、どうにかなりそうだ』

「れ、怜さん?」

『俺が関知しない場所で、真二に限らず、他のオトコと絡むな。お前の気持ちがどうでも、オトコはお前を欲しがると自覚しろ』

「ほ、欲しがるなんて、ないない。私、今までそんなにもてた事ないし」

怜さんからの思いがけない言葉に、思わずベッドの上に正座して、手と頭を同時に横に振った。


< 76 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop