強気な彼から逃げられません
「私、来ても良かったんだよね?」
「当然。夕べ、迎えに来いって、何度もメールしようかと思ったけどな、悔しいからやめた」
くすりと聞こえたかと思うと、抱きしめられていた腕の力がゆるみ、そっと体が離された。
「こないだの電話といい、俺ばっかりが芹花に惚れてるみたいで悔しいから言わなかったけど、期待はしてたから、やっぱり俺ってちっちゃい男だな」
くすくす肩を震わせる怜さんは、やっぱり疲れているのか目の下にうっすらと隈もできている。
守秘義務があり、怜さんは仕事の内容を教えてくれないけれど、面倒な案件だと言っていた。
やっぱり大変だったんだと感じて、そっと怜さんの頬に手を伸ばした。
ほんの少し、頬もシャープになったような気がする。
指先で頬に触れた途端、ぴくりと震えて、そして目を細めた怜さんは、私の手を掴むと、そのままそれを口元に持っていき、軽く唇で触れた。
「この体温が恋しかった。たった三日間離れただけだったけど、長かった」
「私も、怜さんと離れて寂しかったよ」
「……俺より仕事をとったくせに」
からかうような声からは、その言葉が決して本音ではなく、そして意地悪なものではないとすぐにわかるけど、怜さんが私に北海道に来て欲しかったということもわかる。
「仕事よりも、怜さんの方が大切だよ」
わかっているはずだけど、と思いながらの私の言葉に、怜さんは小さく頷いて私の体を再び抱き寄せた。