強気な彼から逃げられません
視線を野崎さんに向けたまま呟いた怜さんの声は、どこか震えている。
きっと、野崎さんを羨む想いが強すぎて、感情が昂ぶっているんだろうと、わかる。
怜さんと知り合って、彼の私への愛情が出会う以前からの強いものであると知らされても、怜さんから向けられる愛情全てを信じきる自信が、私にはなかった。
いつか怜さんを失う事になれば、私はどうなるんだろうかと、そして、私の愛し方を拒まれてしまったら立ち直れないんじゃないかと、いつも無意識に不安を抱えていた。
でも、もう、今までの私じゃない。
当然の事だけど、今回は仕事を放りだしてまで怜さんに会いたい気持ちを優先させることはなかった。
社会人として当然の事を、怜さんの愛情を信じて受け入れられるようになって、ようやくできるようになった。
私の不安を取り除いてくれる怜さんの愛し方、そしてその愛に私が溺れていくのに比例して、私は恋愛以外の日常を、滞りなく送れるようになった。
そんな怜さんからの愛情を、私も一生懸命受け止めて、それ以上の強さで返していきたいと、思う。
ぶれずに一生懸命愛したいと怜さんに望まれる以上の幸せなんて、考えられない。
不安は全部捨て去って、ただひたすら怜さんを見つめて求めて愛し続けていきたい。
誰よりも近くで、誰よりも長く。
そして、その願いを叶えるために、私はようやく決めたのだ。
「私の部屋ね、引き払う事にしたの。すぐにでも怜さんの部屋に押しかけるから、ぶれずに一生懸命、愛してね」