世界から君が消えた
学校の終わりのチャイムが鳴った。
隣には何時もの3人がいる。
「じゃあ、蘭の家こっちだから、またな。」
「バイバイ。」
奏太は蘭を送る為に、少し遠回りをして帰る様だ。
イケメンでスタイルがいいうえに、優しいなんて、完璧じゃねぇか。
しかし毎回思うのだが、あの2人の後ろ姿を見ると、身長差が気になってしまう。
何せ、20cmくらいあるからなぁ。
「ねぇ、本当に犯人いるのかな。」
「どーだろ。まず、他殺かどうかも分からないしな。」
「うん……。」
明らかに、得体の知れない犯人に対し、怯えている優奈。
鞄を握る手に、力が入っている。
「やっぱ、怖い?」
「…うん、怖い。だって、川村さん、家のベランダから落とされたでしょ?ってことは、犯人は家に入って来たって事になる。だから、もしかしたら家にも来るかもしれないって……考えすぎかな。」
そうだ、犯人は家に入って来たんだ。
でも、どーやって?
家の中には川村さんしかいないから、川村さんが開けたのかな。
だとしたら、顔見知りの人?
それとも、もしかしたら、自殺?
家族と上手くいってないみたいだったし。
「蒼汰?」
心配そうに顔を覗き込まれた。
考えてたら、ボーッとしてたようだ。
「ん、あぁ。大丈夫だよ。もし、怖くなったら何時でも言って。すぐ駆けつけるから。」
「うん。」
いつもの笑顔になった。
気づいたら優奈の家に着いていたようだ。
「いつものチョコドーナツでしょ?いくつ?」
幼馴染みの特権かな、いつも出来たてをくれる。
「うん、3つ。あと、クリームパンとメロンパンと、クロワッサンとこれとこれを1つずつ。」
最後の方は名前を言うのも面倒くさくなってきた。
「そんな食べるの?」
笑いながら聞かれた。
なわけない。
よく食べるほうだが、流石にパンを8つも食べるのはキツイ。
「一気には食べんわ、分けて食べる。」
俺は、小さな嘘を吐いた。
いや、大方嘘ではないかもしれないけど。
「そっか。あ、メロンパン、丁度今きれてて作ってるから少し待ってて。」
「うん。」
優奈は家に帰ると、いつもお店の手伝いをしている様だ。
壁に寄りかかってレジの所に目をやる。
パンが出来上がるまで、笑顔で接客をしている優奈を見ていた。