一方通行 1
「ん?」









何かに引っ張られる感覚に、辺りを見渡す。









「なに?」








視線の先をたどると、大翔に引っ張られてるシャツの袖。








それも、携帯に目線を落としたまま、片手で私の袖を引っ張ってる。



















「大翔?」








何か用か、そう聞いても








携帯に目線を落としたまま、何も言わない。



















「用がないなら離してよ。」








シャツ、伸びちゃうし。









大「構ってやってんの。」









「構う?」









そう言い、顔を覗き込むと








初めて携帯から顔を上げた。









大「こうしたいからしてんの。黙っとけ。」









私の頭を小突きながら、まるで子供に言い聞かせるように言う。









不思議そうに見つめ、小突かれた場所をさする私をよそに









いつの間にか携帯に目線を戻してる大翔。



















何がしたかったのよ








なんて、少し不満そうに心で言ってみる。









未だに掴まれたままの袖。


















強くもなく、弱くもなく









自然に掴んでる手









小さいころから見慣れてる手









すごく落ち着く。



















何かあれば、必ずと言っていいほどこの手に救われてきた。









モヤモヤしてた気持ちも、少しづつ落ち着いていく。
















もしかして、気づいてたのかな








私があの二人を見て、落ち込んでたの・・・







それで、元気づけようとしてくれた?


















ほんと、昔から変わってない。
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