君に遺された恋
包みを開けたミラが僕の顔を見てにっこり微笑む。

「素敵!レグルス。ありがとう!」


彼女はひとしきり喜んだ後

「付けてみていい?」

と、聞いてきたので、勿論付けてあげることにした。

僕は慣れないブローチを手に、ピンを外そうとした時、
うかつにも針で指を怪我してしまう。


「…痛っ」


指先から血が出たのを見てミラが血相を変えて叫んだ。


「レグルス、指見せて!!」


そんなに大騒ぎするような傷じゃない。
ミラは大げさで可愛いな。なんて思っていると
ミラが力いっぱい僕の手を掴み、僕をベッドに押し倒した!


「血…」


そうちいさくかすれた声でミラがつぶやき、
次の瞬間僕の上に乗っかり怪我した指を舐め始めた…!


まずい。こんなところ父さんに知られたら
きっと一生ミラはこの城に出入りできなくなる。


「ミ…ミラ?」


ミラは我に返ったようにはっとして手を放す。
先にドアの鍵をしめよう…でないと誰かに見られたら…
そう体を起こそうとした瞬間。


コンコン

「アルです。お茶をお持ちしました。」

ガチャッ
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