強引同期と偽装結婚することになりました
「ごめん、優木くん。全然食べれなかったでしょ」

「いや、お前に食べさせながら俺も食ってたよ。弟や妹に食べさせてたから慣れてるし」


「優木くん、弟さんや妹さんがいるんだ。だから優しくて面倒見がいいんだね」


こうやって食べさせてくれるのもきっと面倒見がいい優木くんだからだ。他意はない。本当に優しいな。


「で、何があったんだ?」


結局、ほとんど食べさせてもらってお腹の虫も収まったところで優木くんが切り出す。まだ隣の席に座ったまま。

こうやって他の人から涙が見えないようにしてくれてるのか。何から何まで親切過ぎてもう涙腺は緩みっぱなし。


「ここじゃ話しにくいことか?篠宮が大丈夫なら場所移動しよう」


何度も払うと言ったのに今日は俺のおごりだと押し切られてご馳走になった後、優木くんにそう言われて頷いてしまった。

こんな弱っているときに優しくされたらどうしても甘えが出てしまう。車で聞くからと言われ、一度会社まで戻って彼の車を取りに行くことにした。
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