強引同期と偽装結婚することになりました
「ここに、決まってる」

やっと見つけたのは資料室。怒鳴りつけようと思ったのにドアに手を掛けると中から声がする。

どうやら先約がいるってことね。優木くんの声が聞こえるからここにいるのは確実だけど誰と一緒にいるんだろう。

「あの、優木さん。今度一緒に近くのパスタランチ行きませんか?優木さんがパスタ好きって聞いて、あたし調べたんです」

「悪いけど、俺、忙しいから」

「暇なときでいいんです。あたし、優木さんとどうしてもご飯食べたくて」

桐島さんだ。桐島美夏(きりしま みか)さんは私と優木くんの二つ下の後輩。私以外の唯一の女子社員で私の苦手な人。
でも、そこにオシャレで美人だから僻みもあったりするのだけど。


そうだった。桐島さんは優木くん狙いだったのを忘れていた。なるべく関わりたくない。今は戻ろうと踵を返した時だった。

「あたし、優木さんのことが好きなんです。お願いします。あたしと付き合ってください」
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