強引同期と偽装結婚することになりました
「・・・今は就業時間中だぞ。よく、そんなことが言えるな。聞かなかったことにさせてくれ。俺は資料を取りに来ただけだから」


ヤバイ。優木くんの靴音が段々と近づいてくるのがわかる。

こんなところで盗み聞きをしていたなんてことがバレたら優木くんにも、桐島さんにも何を言われるか分からない。どうしよう、どうしよう。


「あっ、篠宮。お前も資料探しか?ほらっ、桐島。篠宮が入れずに困ってるだろ。用事がないなら早く出て行けよ」


開けられたドア。慌てふためくものの結局、逃げ切れずその場に立ち尽くしていると優木くんが出てきてしまった。


多分、優木くんは私が盗み聞きしていたことを気づいているだろうけれど咄嗟のフォローをしてくれたから桐島さんにはバレていないはず。


「ご、ごめんね。あの、資料探してもいいかな?」


「・・・盗み聞きなんて最低。企画が通ったからっていい気にならないでくださいね」


私の隣を横切るときにキッと睨みつけられて吐かれた言葉。やっぱりバレてたか。

でも、そんなことより優木くんだ。と思ったのに言われることが分かっているのか優木くんもいつの間にか戻ってしまっていた。
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