強引同期と偽装結婚することになりました
頭をポンポンと撫でて部署に戻る優木くんに手を振りながら、そういえば、結婚式場から連絡が来ることを思い出して確認する。

あれっ。お父さんから連絡が何件も入っている。なんだろうと思い、慌てて掛け直した。


「あっ、もしもし。お父さん?今、大丈夫?電話もらってたみたいだったけどなんかあった?」


どうしたんだろう?お父さんから急に電話なんて珍しい。そう思って、お父さんの返事を待ちながら、一口卵焼きに口を付けた。


「葵、昨日お母さんから聞いた。それでまあいろいろあったんやな。それはもう終わってしまったことやし、仕方ない。でも、結婚式のことやけどな、俺はその結婚式に出るつもりない。そう、祐くんにも言うといてくれ」


「えっ?どういうこと?お父さん、意味が分からない。なんでそんなこと言うの?」


「・・・なんで、お前の結婚式やのにお前が主役じゃないねん。お前だって、ほんまはもっとやりたいことあるんちゃうんか?おばあさんのための結婚式になんで俺らがでなあかんねん。そういうことや。そしたらな」


「ちょっと待って!お父さん」


「葵、お父さんどうしたんだ?」
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