地獄の果てでキミを愛す
「よく出来ました」



ワザとらしく笑えば桜は眉を顰めた。
だけど直ぐに俺から目を逸らす。


あーあ。
またやったな……。


「直哉……?」


俺の様子がおかしいのに気が付いたのか桜は震えながら見上げてきた。

その顔すげぇ可愛い。

だけど今は許してやらねぇ。

俺は怒ってるんだから。



「桜……言ったよな……?」


低い声を出せば桜は肩を震わせながら俺から離れる。
座ったまま後ずさりをする桜。

逃げる事なんて出来ないのに。
何で俺を怒らせる事ばかりするんだ……。


「あっ……」


後ろに壁が迫り、逃げ場を失った桜の顔は絶望に陥っていた。
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