地獄の果てでキミを愛す
素直になれば楽なのに。
直哉を求めればいいのに……。


私はそれをしなかった。


その理由は簡単だ。


恐いんだ。
直哉に嫌われることが。


私が狂った時に
彼が本当に受け止めてくれる保証なんて何処にもない。


私は狂った彼でも愛しているけれど。


いつか冷静になった時
直哉に必要とされなくなることが恐い。


出来る事なら……。


監禁という行為に走る前の
あの不器用でも優しい直哉に戻って欲しいんだ。


だから。


私は彼を求めない。

壊れたりもしない。


ぎゅっと唇を噛みしめて直哉を見つめた。
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