もっと、キスして
やっとのことで声を出す。
「龍青。」
「聞こえねえ。」
「龍青。」
「もう1回だ。」
目の前の男の目を見て、しっかりと名前を刻み込む。
「…龍青」
するとその人は満足げに笑う。
「なんなの。ほんと。意味わかんない。」
「そんなのなんとなくに決まってんだろうが。」
ふと海の方に目をやると、日が沈みそうで。
オレンジの光を受けて、水面がキラキラ輝いていた。
「綺麗──…」
「好きなのか、海。」
「うん。好き。」
しばらく2人で夕日が沈むのを黙って眺めた。
日はあっという間に沈んであたりが暗くなると、海の風は薄着の私には少し冷たかった。
「帰るか。」
龍青がそう切り出す。
あの家に…?
嫌な気持ちしかないし、もう少し一緒にいたいけど。
「うん。」
その気持ちを押さえ込んで無理矢理な笑顔で頷いた。