もっと、キスして
なんでお母さんじゃなくて私なのって、思ったけど言ったら多分殺されてただろうなあ…。
怖すぎて、言えなかったんだけどね。
その日からは私が泣いてなくても“躾”をされた。
私も、これが“躾”だって、信じてた。
小学校に上がってやっと自分は普通じゃないんだなって思った。
綺麗な服を着て、綺麗な体操着を着て、
参観日にはお母さんたちが見に来て。
遅くまで遊んだらその子たちは必ずお母さん達が心配するからもう遅くまでは遊べないのって言う。
なんで?
心配?
私には世界が違いすぎて、信じられなかった。
そのとき友達にね、
“凛ちゃんは心配されないの?”っていわれたの、幼いながらに衝撃だった。
歳を増す毎に、成長する度に、お父さんの“躾”はエスカレートしていって。
私はこの人に明日殺されるって毎日本気で思ってた。
その日生き延びるのが精いっぱい。
それで私、中学生になれたの全然信じれなかった。
そしたら14歳の時。
──…
「凛?無理すんな、寝るか?」
龍青の顔がすごくつらそうで。
不良高校のトップがそんな顔しないで。
「龍青、聞くの辛い?」
「何言ってんだ。お前の方がつらいくせに。」
「私ね、“躾”されるときいつもあの人に頬を撫でられる。
だから、その行為で記憶がすっごい鮮明に蘇って。
それだけで動けなくなる。
だから、さっきちょっとだけ取り乱しちゃった。」