もっと、キスして
「静かにしてろ。絶対に喋んな。
喋ったらマジで殺すぞ。分かってるな。」
父親は私の中からモノを抜き、下ろしていたズボンを上げると、玄関の方へ向かっていった。
怖いよ、声が出ない。
「警察の方が、うちに何の御用でしょうか。」
「夜分遅くにすいません。
こちらの男の子が、お宅の娘さんのことを心配しておりまして。
娘さんが無事であることを確認してもよろしいですか?」
「さすがにこの時間になると娘も寝ておりますので…また明日伺っていただいてもよろしいですか。」
何を言っているか聞き取るような気力もなかったけど。
“こちらの男の子”
その言葉が私の中にすーっと染み込んだ。
龍青だってそう思った。
助かるんだ。
「りゅ、せ、」
「凛の声がした。」
その声を聞いた瞬間に何かを口走ったきがする。覚えてない。
お父さんが走ってきて、お腹を蹴られた。
警察の人がお父さんを止めて、それでも私は蹴られて、
何かが起きて、
龍青が驚いた顔をしてて。
その顔がつらそうで。
嫌われたかな、そんなことを思いながら龍青に何かを言った気がする。
無声映画みたいに周りで何かが起こってるのだけが見えて、自分がやったことも龍青が言ってくれたことも、
父親が私を蹴りながら叫んだ言葉も、
警察が言った言葉も、自分が喋った言葉も、何も聞こえなかった。
視界はすぐ暗くなった。