もっと、キスして
次の日私は龍青に家まで送ってもらう。
昨日の夜中じゅう警察が家の中を調べていたらしいけど、さすがに朝になるとそれも落ち着いていた。
まあワンルームってことに加えて収納スペースには私の服が入ってたりしただけだし、
“躾”に関する証拠は探しても見つからなかったんだろうけど。
「ひとりで大丈夫か?」
「うん、多分大丈夫。」
あの人はもういない。それは分かってる。
「じゃあ、落ち着いたらでいいからまた学校来いよ」
「うん。明日からちゃんと登校するから安心して。」
龍青とそのまま別れて家のドアを開けると、本当に一昨日と何も変わっていなくて。
バラバラに引き裂かれた服や、タバコ、コンビニ弁当のゴミが散乱する部屋。
「半分は残ってるのが不幸中の幸いってやつなんだろうな…。」
しかも普段は着ないようなすごくおしゃれで気に入ってるやつばっかり引き裂かれてた。
「時間かけてまた集めればいいか。」
取り敢えず普段着るものには困らなさそうだし。
「制服も無事だし。」
あの人はいつもそう。
普段着とか制服に手を出したら私がこうなってるっていうのが周りの人に分かるから。
あくまで特定の日にしか着れない高そうな服しか破かないし、暴力も服で隠れるところにしかしない。
だから基本何されても家の外にはバレない。気づいてもらえない。
ほんとにこれで良かったのかはわからない。
あの人だってたった1人の肉親だし。
なんだかんだで私は高校も行けるように育ててもらったし。
私がずっと怖かった途中で死ぬなんてことは結局なかった。
「…なんなのかな、私って。」
愛されてなかったと思う。
性欲処理だったり、ストレス解消の道具でしかなかったんだと思う。
自分のお腹を痛めて生んだ子のくせに母親は私を見捨ててどこか行くし。
…考えれば考えるほど、虚しくなって泣きたくなった。