悪魔に取り憑かれました。
「先輩、私ちょっと先に帰りますね」


「え?」


「失礼します!」



戸惑う白金先輩を残して、私は走ってその場を離れた。


傘を差すのなんか忘れて、もっとビショビショになりながら。



けっこう離れたあたりで、止まって、息を整えた。



「はあ…はあ……っ」


「真珠、どうしたんだよ」



ダイヤに声をかけられる。


私は顔を上げて、ダイヤに聞いた。



「さっき背中押したのって、ダイヤだよね?」

「え?ああ、そうだけど…」

「…じゃあやっぱり、他に悪魔がいるんだ…」


そう言うと、ダイヤは黙った。


そして、重々しく口を開いた。



「…ああ、あれは偶然じゃないな」


…ダイヤが言うなら、やっぱりそうだ。


ダイヤ以外の悪魔に、殺されそうになってるんだ……。



「にしても変だな…」


「何が?」


「悪魔はお互いが近づいたら、なんとなくオーラというか魔力というか、分かるもんなんだよ。それなのに何も感じない。お前を狙ってるやつはよほど上手く身を潜めているってことか」



…怖い。


私を狙ってる悪魔は、どんな奴なんだろう。


どこにいるんだろう。



…もしかして、今この瞬間にも私を見てるんだろうか。



「…もう私、白金先輩と一緒に歩かない」


「は?なんで?」


「さっき私のせいで白金先輩まで危険な目に遭った。白金先輩を巻き込みたくないよ」



もしも電柱が白金先輩に当たっていたら…。


考えただけでゾッとする。



「あいつには天使がついてたろ。だから…」


「サファイアが教えに来てくれたの。ダイヤ以外の悪魔が私を殺そうとしてるかもしれないって。だから調べるために何日か天界に戻るって。だからせめてサファイアが帰ってくるまでは…」



数日だけ。


白金先輩に近づくのをやめよう。



そして、自分の身を守らなきゃ…。
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