悪魔に取り憑かれました。
人を不幸にするのは生きるために必要なことで、俺の生き甲斐でもあった。


でも、真珠に出会ってから、変わってしまった。


人を幸せにすることは悪い気持ちはしなかった。

一方で人を不幸にすることに罪悪感を感じる。

そして、人を不幸にすることで生きてきた自分に嫌悪感を感じるようになった。


このまま自分のことが嫌いなまま、生きて行きたくない。


それなら残りの人生は、真珠に不幸が起きないように、真珠が幸せになるように、真珠を守ることに使いたい。


真珠はもう俺のことが分からないけれど、それなら姿を見せないようにして、陰ながらでいいから、真珠を守りたい。



「ねえ、バカなこと言わないで!なんであんな子ども一人のために命を捨てるのよ!考え直して!」



ルビーは今にも泣きそうな顔をしてる。

こいつとは長い付き合いだったな。



「真珠のためだけじゃないんだ。俺は、悪魔の自分が嫌いなんだよ」


そう言うと、ルビーはまた目を見開いた。


そして、そっと離れ、うつむく。


「…なによ、じゃあ悪魔の私も嫌い、そう言ってるの?」


「そうじゃない。生き方なんて人それぞれだろ。どんな生き方選ぼうとそいつの…」


「もういい!!!」



今まで聞いたことないくらいの大声でルビーが叫ぶ。


顔を上げ、俺を睨んだ。



「悪魔のくせにバッカみたい!偽善者ぶって死ねばいいわ!じゃあね、永遠にさよなら!!!」


ルビーはそう言うと、遠くへ飛んで行った。


…永遠にさよなら、か。


もうルビーは俺の前に現れないつもりなんだろう。


ルビーの言うことは正しい。


悪魔なんだから、人を不幸にするのをやめたらいつか確実に死ぬ。


死のうとしてる俺を止めようとしたんだから正しいに決まってる。



でも、これが俺の決めた道。



病室にいる真珠を見下ろす。



俺があげたヘアゴムを見て嬉しそうに笑ってる。



あと何年生きられるか分からないけれど、それまでは真珠を守るために生きよう。



改めて心に誓った。





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