アメトムチ


「 で? あめが落ち込んでんのはそれだけが理由なわけ? 」

突っ伏したまま顔を上げない頭の上から降ってくる玲香の声に私はパッと顔を上げる。

そう。大好きで大好きで仕方なかった彼。
1年の片思いの末、ようやく付き合えた交際期間半年だった彼。
今となっては世界で2番目に憎い元彼ーーーー。


「 私の事、笑ったの!!!! 」


世界で2番目というには理由があって。
それは世界で1番憎い人間がいるからこそ。それは振られたあの日、人のざわめきも聞こえなくなった街中で何故だか聞こえてきたアイツの声。


「 は? どういうことよ 」

「 真司に別れようって言われて。それを笑ってたのよ!!!! 」

「 誰が 」

「 アイツよ! あのーー 」



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