Polaris

彼の言う〝キョンキョン〟というのは、彼が呼ぶ私のニックネーム。私の名前、唯川京子(ゆいかわきょうこ)から勝手に名付けられた。

私の事をそんな風にニックネームで呼ぶ人は、多分イツキが初めてだ。


《本当ムカつく。友達くらいいます。イツキなんか凍えてしまえ》


カチカチと力強くボタンを押して、メールを打つ。仕上がったメールを送信した私は、唇を少し尖らせた。


「本当ムカつくー」


素直じゃなくて、冷たい私にだって友達の一人くらいいるわ!と、若干腹を立てて呟く。

だけど、そんな風に言っても携帯は手のひらの中。心のどこかで、イツキからの返事を待ちわびている。


イツキは基本、仕事中や外せない用などがない限り返事は早いタイプ。時々、常に携帯をチェックしているんじゃ?なんて思ってしまう程だ。

だから、きっと、もうすぐ返事が来るだろう。

そんな風に思っていた矢先、早速私の携帯から着信メロディーが流れ始めた。

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