Polaris
《勝手に名前で呼ばないでください。それから、いきなり働いてる会社を聞くなんてデリカシーなさ過ぎです。あと、貴方の職業を聞いた覚えもありません。もうメッセージは送ってこないでください》
私が送信したのは、硬く、厳しく、優しさや可愛さの欠片なんて少しもないようなメッセージ。
こんなメッセージを送れば、流石にこの軽い彼も落ち込んで、私にメッセージを送ったことを後悔するだろう。
そんな風に思っていたのに、彼からの返事は意外にも早くやって来た。
《気分悪くしたならごめん。名前は〝京子〟としか書いてなかったからそう呼ぶしかなかった。でも、結果的に気分悪くさせちゃったんだから、申し訳ないと思ってる。あと、出版社を聞いたのは、君のプロフィール画像が、僕の好きな写真集に載ってる写真だったから、もしかしてその写真集を出版してる出版社かな?と思って聞いた。デリカシーなさ過ぎだよね。謝って済むわけじゃないけど、悪気はなかったんだ。本当にごめんね》
メッセージを開いた瞬間、私は目を見開いた。あまりにも長く、一通目とはまるで違う文章。
目を通していくうちに、私はなんて酷いことを言ってしまったんだろう。なんて罪悪感が芽生えてきた。