Polaris

一通目の勝手な〝京子ちゃん〟呼びも、ちゃんと〝君〟呼びになっている。

……というより、この〝京子ちゃん〟呼び。そもそも彼は悪くないような気がする。だって、彼の言うとおり私はフルネームで登録したわけじゃない。だから、彼もそう呼ぶしかなかったのだ。


……ああ、ちょっと悪いことしたな。こんなの、ただの八つ当たりみたいなものだよね。


仕事のストレスがあったとはいえ、殆ど八つ当たりのようなメッセージを送ってしまったことを後悔し、反省した。

私はすぐにボタンのうえで指を滑らせ、試行錯誤しながらメッセージを作った。


《こちらこそすみませんでした。流石に、ちょっと言い過ぎてしまいました。ごめんなさい》


送信ボタンを押し、メッセージ作成画面からメッセージ受信画面に戻った。

彼の謝罪文に比べると、とても簡単で、更には短い文。だけど、本当に反省はしている。本当に、申し訳ないと思っている。

酷いことをしてしまったと自覚しているからこそ、私はこの簡潔なメッセージを送り、彼から返事が再び来ないようにした。

こんなに簡潔な文章に、返す返事なんてないだろう。そう思ったのだ。

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