Polaris

なんとなく、私は彼のプロフィール画面を開いた。彼のプロフィール画像は、夜空に浮かぶ星たちの写真。

他とは違う輝きを放つひとつの星。それを囲むようにして周りで光り輝く、動きのある星たち。真ん中にある、一際違う輝きを持っている星の名前は、恐らく北極星。


私が働く小さな出版社では、主に自然や景色の写真集を多く出版している。他にも文庫小説なども出版しているが、売れ筋はやはり、そういった写真集だ。

その写真集の中に、夜空の星の写真は多くある。

なんだか馴染みのある写真に和んだ私は、そのまま彼のプロフィール文に目を移した。


《今は北海道に住んでます。普通のサラリーマンです》


意外にも、シンプルで地味なプロフィール文。私のプロフィール文とよく似ているような気がして、口角が自然と少しだけ上がった。

彼のプロフィールを見た私は、そのままそのサイトを閉じ、瞼を閉じると眠りについた。



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