男な女と女な男
「へぇ~…ホントにあたし何かに魅力あんのかなぁ。」

輝に言われたあと,遠くを見つめながら呟く樹里。

「魅力っていうのは…自分では気がつかないものだと思うよ?僕も自分の魅力何てわかんない。」

同じように遠くを見つめながら言う輝。

「輝は…考えが大人だなぁ…あたし,そんな風に考えた事何かないし…。それにっ…。」

樹里はふと輝の方を見て言葉が途切れた。

あまりにも夕焼けと輝の横顔が綺麗で,見とれてしまった。

「ん?それに…??」

輝が樹里の方を向いた時,樹里は我にかえった。

「え?あっいや何もねぇ。」

それに…の後,樹里が言いたかったのは
「輝は十分魅力的」

それが言いたかった。

自分でも魅力とはどういう事かがわからないにも関わらず,思わず言いそうになった。

『魅力的』

本当に魅力って何だろう。

と,樹里はただ頭の中で考えていた。
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