男な女と女な男
「重傷だな。」

「だろ?……なぁ,樹里。」

急に真剣な声になる瑞樹。

「何だよ。」

「お前,もうちょい警戒心持てって。」

ようやく顔を上げて樹里の顔を見る。

「はっ??急に何??」

急な瑞樹の発言に意味不明な状態でいる樹里。

「だから警戒心を持てって言ってんの。」

「急に何言ってんの?持ってるし,警戒心。」

「持ってねーよ。持ってね―からあんな簡単に抱きつかれるんだっての。」

「あれは急にだったからだろ!!ってそれに何で朝の事引っ張り出すんだよ!」

「うるせ―。とにかく警戒心持っとけよ。」

軽く吐き捨てるように言う瑞樹。

「何だよ諏訪―。せっかく人が心配して来てやったのによ―。」
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