Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「……最初から騙すつもりで鳳皇に入ったの?」
智広くん、いや、チヒロが“D”だという事が未だに信じられなくて、気付けばそう問い掛けていた。
だって、チヒロが“D”だと言うのならその“D”を連れてきた充くんも“D”という可能性が高くなる。
チヒロはまだ関係が浅くても充くんになるとまた別だ。
あたしもかなりショックだけど、昔から関わりのある鳳皇のメンバー、そして遥香さんのショックは計り知れないだろう。
「そうだな。俺はその為に近付いた」
「近付い、た?」
「あぁ。充に」
え?って事は……。
「俺は中田に手を貸したあの抗争の前から充に近付いてたんだよ」
「……っ」
「中田が失敗した時の為に保険を掛けておいた。念には念をってやつだ」
念には念を……?
そんな……まさか奴等が裏でそこまでしていたなんて。
でも、これで分かった。
充くんは“シロ”だ。
充くんはただ“D”に利用されていただけ。
チヒロは此方へ帰って来た充くんに近寄り、“友達”になった。
そして充くんと一緒に遥香さんの護衛をし、鳳皇に潜り込んだんだ。
全て奴等の計画。
充くんは鳳皇を裏切ってなんかいなかった。
「残念だったな、その計画が無駄になって。鳳皇と獅鷹が揃っている以上お前達に勝ち目はない」
突如放たれたのその言葉にゆるりと振り向けば、視界に映ったのは優音の真剣な横顔。
“D”を見据えるその視線は横顔からでも分かる程冷ややかで。
けれど、同時に力強くもあった。
敵地に居るにも関わらず少しも怯まないその姿勢に感嘆すら覚える。
流石は獅鷹幹部。
頼もしいことこの上ない。