Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「可哀想だから相手してやろうか?」
そう言って立ち止まったのはトップの男。
その言葉は願ってもいないもので。
「優」
「あぁ」
あたし達は即座に構えた。
だが、次の瞬間耳に入ってきた言葉は──
「下の奴等が、な」
「なっ!?」
全身の血が沸き上がる程腹が立つ言葉だった。
「お前達には俺達を倒すのは無理だ」
余裕綽々というのはあの姿の事を言うのだろうか。
馬鹿にした態度が更にあたしの怒りを煽る。
「そんなのやってみないと分からないじゃない」
「……やってみないと?フッ、無理だな。お前は絶対“此処”まで辿り着けない」
そう言って男が指差したのは自分の足元。
『そう言った事、後悔させてやる』
そう吐き捨てた瞬間、あたしの中で“スイッチ”が入った。
全身の神経が研ぎ澄まされていくような感覚に支配されながら、右手に持っていたパンプスを頭上に掲げる。
そして。
『絶対に逃がさない』
そう言い放った後、まるでそれが合図だとでも言う様にパンプスを離した。
コツンコツン、と硬いコンクリートの上に叩きつけられた黒のパンプス。
その音が響いた時にはもう、あたしは地面を蹴っていた。
真夏の太陽に照らされたアスファルト。
それがあたしの爪先を容赦なく刺激する。
けれど、熱いのなんてほんの一瞬のこと。
我慢する程のものではない。
だから、何の躊躇いも生じなかった。
左には優音。
一定の間隔を開け、奴等に突っ込んでいく。