俺様黒王子とニセ恋!?契約
「なあ」


運転席についてシートベルトを締める私に、助手席から金子さんが短く呼びかけて来た。
首を傾けながら目を遣ると、金子さんは助手席のシートに既に背を預けていた。


「四宮さん、このプロジェクトに、相当気持ち入れ込んでるな。……なんで?」


そう問われて、一瞬私はエンジンをかける手を止めた。


「こう言っちゃなんだけど、四宮さんはそこそこ仕事に安定感はあるけど、アシスタントとしての域を超える人間じゃないと思ってた。……多分、自分でもそれ以上を求めてなかったんじゃないかな」

「……そうですね」


同じ部内でも指折りの有能な先輩からそう言われて、私は俯いて笑った。


「それが、このプロジェクトにはそこまで真剣になるって。……もしかしなくても、片桐が関係してるんだろ?」


探るような視線を意識しながら、私はまっすぐ前を向いて一度大きく深呼吸した。
そして、止めた手を動かして、エンジンをかける。


「行きますよ。……金子さん、着くまで眠ってて大丈夫です」


そう言ってわずかに微笑むと、金子さんが苦笑するのが聞こえた。


「……悪いな。甘えさせてもらう」

「はい」


ブレーキを解除して、アクセルを踏み込む。
パーキングから高速の出口に向けて走り出した時には、金子さんは助手席で目を閉じていた。
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