俺様黒王子とニセ恋!?契約
工場までは、カーナビを信じれば後一時間ほどで到着する。
そこから荷物を積み入れて再び東京に戻る。
仙台の工場を出発出来るのがいつになるかわからないけど、東京に帰り着くのはきっと明け方近くなるだろう。


「……さむ……」


思わずそんな言葉が口を突く。
けれど、すっきりとした冷たい空気がヒートアップした私の頭を冷やしてくれる効果になる。


ほんと、私、情けない。


篤樹に強い私をちゃんと見せつけたかったのに、こんなミスをしてむしろ迷惑をかける羽目になるなんて。
しかも金子さんまで巻き込んで。
もう胸を張って篤樹に対峙するなんて、無理なのかもしれない。


気持ちがシュンと沈む。
そして私はなけなしの意地で自分を叱咤した。


落ち込むのは後。
今はとにかく無事に工場からサンプルを運ばなければ。


「お待たせ。行こうか」


そんな声が背中にかけられて、私は気合いを入れ直しながら金子さんを振り返った。
はい、と返事をすると、金子さんが私に車のキーを渡してくれる。
ここを出たら、工場までは私が運転担当だ。
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