俺様黒王子とニセ恋!?契約
沙穂は私にチラッと横目を向けると、ワイングラスを大きく傾けた。
途端に式場スタッフが沙穂のグラスに注ぎ足しに来る。


「せっかく勇気出して告白したくせに、返事も聞かずに、しかも学年もクラスも告げないままで。そりゃ、篤樹先輩が本気で探してくれたら見つけてもらえたと思うけど、告白自体を言い逃げにしちゃって」


白ワインが注がれたグラスを手に持って軽く揺らす沙穂に、私は曖昧な笑みを浮かべた。


「……でも、結局あの後、篤樹先輩は超美人な彼女作ったんだし」


答えを聞くまでもない。
玉砕覚悟の告白だったから、確かに私は言い逃げた。
一方的に想いを告げたことに満足して、怖い返事を聞きたくなかった。


そして、篤樹に彼女が出来たことを知って、泣いた。落ち込んだ。
考えてみれば、どこまで自分勝手な告白だったんだろう。


言葉を尻すぼみにして黙る私に、沙穂は一拍置いてから、ねえ、と声をかけて来た。


「今の篤樹先輩って、どんな感じ?」

「え……」


答えようとして、咄嗟に答えが浮かばない。
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