俺様黒王子とニセ恋!?契約
「……え?」


大きく目を見開いて問いかけると、篤樹は困ったような笑みを浮かべてその場にスクッと立ち上がった。


「澪の反応とか、仕事中の周りの評価とか……ちゃんと知るうちに、不可解な気分になった。俺の前の澪と、普段の澪とどっちが本当だかわからなくなって、なんか俺、とんでもない勘違いしてるんじゃないか?って思い始めて……」


私に背を向けて、篤樹は自分の混乱を抑えるかのように、クシャッと髪を掻き上げた。


「……わかってたら、最初からこんなふざけた関係に付き合わせたりしなかったのに」


掠れるような声で紡がれた言葉が、大きく私の胸に突き刺さる。
ドクンドクンと、怖いくらい不吉な音を立てる。
まるで断末魔の咆哮のようだと思った。


「篤樹……」


呼びかけた声が、まるで縋るように聞こえる。


「もう振り回したりしないから」


何かを吹っ切るように突如明るくトーンを変えた声が、私にそれ以上を言わせない。


「ちゃんと澪を大事にしてくれる男と本物の恋をしろ」


そう言って、篤樹は私を肩越しに振り返った。


「……俺じゃ、本物にはしてやれないから」
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