俺様黒王子とニセ恋!?契約
「金子さん。後片付けは俺がやります。次、別件の会議でしょう?」


大股で中に入って来る篤樹に、金子さんが、ああ、と返事をした。
そして私にクルッと背を向ける。
会議室から出て行く金子さんに、私は頭を下げて見送った。


どのくらいそうしていたか。
私が顔を上げるまで、会議室には物音一つ立たなかった。


顔を上げても目を伏せたまま。
私は持ち込んでいたノートパソコンを片付け始める。


そんな私に、


「……澪」


篤樹が、小さな声で呼びかけた。
反射的に、ビクッと身体が震えてしまう。


「俺と一緒のプロジェクトじゃ、やり辛い?」


続く言葉に、私はおずおずと目を上げた。
篤樹は私に横顔しか見せないまま、テーブルに残った資料を片付けている。


「それなら、アシスタント交代考えるよ。やりたいって言ってる子、いるから」

「っ……」


思わずグッと息をのんだ。


「……それって、橋本さん?」


掠れる声で訊ねると、篤樹は黙ったまま何度か頷いた。


「橋本さんが篤樹に想いを寄せてるの知ってて、彼女と交代させるの?」


そんなつもりはないのに、咎めるような口調になってしまう。


「……プロジェクトのアシスタントだけじゃなく、ゲームの相手も彼女にスイッチするんだ?」


私らしくない、刺々しい嫌味な言葉が、ますます自分を惨めにする。
篤樹はほんの少し不快な表情を浮かべただけで、小さく息を吐いた。
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