俺様黒王子とニセ恋!?契約
だけど……。


篤樹の隣で意欲満々の橋本さんと私じゃあまりに対照的で、この場で二人の姿を目にするだけで切ない。
しかも。


「え~、それでは、本日からは実際にそれぞれの分担に分かれてもらって、グループ単位で準備を進めて頂きます。会場設営はうちの営業企画部とそちらの販売促進部のメンバーで。また、それぞれの営業部のメンバーは商品サンプルの在庫確保と納品。取引先招致の対応をお願いします」


プロジェクトリーダーとして金子さんがキビキビと指示を出す。
それが私の気持ちを一層深く沈める。


そう。今日からイベント当日までは、同じ部同士ペアになって、それぞれの業務に就くことになっているのだ。


今までのように会議室で篤樹と顔を合わせることはなくなる。
気まずい思いはしなくて済むようになるけれど、私が知らないところで篤樹がずっと橋本さんと一緒に行動すると思ったら、心がざわめいて落ち着かない。


会議が終わると、橋本さんが歩調まで弾ませながら『よろしくお願いしますね』と挨拶してくれた。
眩しいくらい輝く彼女の笑顔に、ぎこちなく強張る笑みしか返せない自分に、劣等感が増す。


「橋本さん」と篤樹に呼ばれて、本当に弾むように彼に駆け寄る橋本さんの背中を、ただジッと見つめる。
二人が会話を交わしながら出て行くのを、私は奥歯を噛みしめながら見送った。
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